
米ニューヨークで27日、核不拡散条約(NPT)再検討会議が幕を開け、国際社会の緊張が浮き彫りとなった。各国代表による一般討論では、ウクライナ侵攻を継続するロシアへの厳しい批判が相次いでいる。安全保障環境の急速な悪化により、核軍縮の進展には不透明感が漂う事態となった。
フランスのバロ外相は演説の冒頭から、ロシアによる軍事行動を強く非難する姿勢を鮮明にした。同氏は現状を分析し、核の脅威が国際秩序を揺るがしていると警鐘を鳴らしている。フランスは核兵器国としての責任に触れつつも、現実的な防衛力の必要性を強調した。
バロ外相はロシアの姿勢について、「ロシアは帝国主義的、植民地主義的政策を追求している」と断じた。さらに「核のレトリックがウクライナに重くのしかかっている」と語り、核兵器による威嚇を続けるロシアを厳しく指弾した。この発言は、自国の核戦略転換に対する国際社会への釈明とも受け取れる。
フランス政府は3月、1992年以来となる核弾頭数の増強方針を発表し、これまでの核戦略を大きく転換させている。背景には、5年目に突入したロシアのウクライナ侵攻があり、欧州の安全保障環境はかつてないほど厳しさを増した。核戦力の「上方調整」という決断は、NPTの理念に逆行するとの懸念も呼んでいる。
日本の演説は、従来の「核兵器のない世界」を目指す岸田路線の枠組みを忠実に踏襲するものとなった。核軍縮への逆風が強まる中で、いかに条約の空洞化を防ぐかが大きな焦点となっている。再検討会議が実効性のある成果を上げられるか、国際社会の真価が問われている。
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